東京高等裁判所 昭和56年(う)2180号 判決
記録並びに当審における事実取調の結果によれば、被告人はかつて自動車の運転免許を取得していたが、度重なる道路交通法違反によりその取消処分を受けたものであるところ、今度は無免許運転を繰り返して、昭和五五年四月二四日東京地方裁判所において懲役五月、三年間執行猶予の判決の言渡を受けたのに、その後一年も経過しない右執行猶予期間中にまたもや本件無免許運転に及んだというのであるうえに、本件無免許運転の動機に特段斟酌すべき事情も見出し難いことにも徴すると、被告人の刑責の軽くないことは当然であつて、他面、被告人が反省し再犯なきを誓約し、当審に及んでは交通遺児育英会に奨学資金として金一〇万円を寄付し、その実を示そうとしていることなど、所論の指摘する被告人のために考慮すべき事情を十分斟酌してみても、被告人に対し再度刑の執行を猶予するのを相当とする「特に憫諒すべき情状」があるとは到底認め難い。